今まで、福祉住環境に関するテーマの記事が少なかったので、今回は、高齢者に多い「パーキンソン病と住環境」をテーマにパーキンソン病の方の住環境について解説していければと思います。
現在、親の介護をしている、または近い将来、介護をする必要があるという方はぜひ読んでみてください。
このブログでは、元外構マンで現在は高齢者や障がい者専門に住宅のリフォームを手掛ける会社に勤めるさきさきパパが、外構や福祉住環境を切り口に家づくりについての情報を発信しています。
プロフィール aboutさきさきパパ
保有資格:宅地建物取引士
2児の父(完成当時:6歳の長女、1歳の長男)
2017年 築40年以上の中古物件購入
2022年 セキスイハイムでマイホーム完成(建て替え)
パーキンソン病の概要
パーキンソン病は、脳の特定の部分に問題が生じるために、体の動きに問題が出る病気です。この病気では、神経伝達物質であるドーパミンが不足するため、神経の情報の伝達がうまくいかなくなり、手や足が震えたり、筋肉が硬くなったりする症状が現れます。
この病気は主に50歳以上の人によく見られ、発症率が比較的高いです。具体的には、およそ1,000人中1人がこの病気にかかり、65歳以上になると100人中1人が発病します。
パーキンソン病は進行性の疾患ですが、適切な治療や日常のリハビリテーションなどを通じて、症状の進行を遅らせることができます。ただし、病気が進行すると生活の質に影響を及ぼすことがあり、介護や日常生活を送りやすくするためのリフォームなどが必要になってきます。
パーキンソン病の特徴
ドーパミンの不足によって引き起こされる、運動症状と非運動症状について特徴的な症状を解説します。
運動症状
振戦
手、指、顎、または足などの特定の部位、あるいはこれらの部位のいくつかで、安静時に震えが現れることがあります。
筋固縮
筋肉がこわばり、柔軟性が低下します。自分ではあまり感じませんが、他人が手や足、または頭部を動かす際に、関節がカクカクするような抵抗を感じることがあります。
無動
動作の開始が遅れ、動きが鈍くなります。歩いているときに手を振ることがほとんどなくなり、細かい動作を同時に行うことが難しくなります。また、最初の一歩を踏み出すのが難しく、身体が固まってしまう「すくみ」と呼ばれる現象も起こることがあります。
姿勢反射障害
病気が進行すると、新たに現れる症状の一つとして姿勢反射障害があります。姿勢反射障がいとは、姿勢の維持が難しくなり、バランスが悪くなる転倒しやすくなる症状を言います。
非運動症状
パーキンソン病は、運動症状だけでなく、非運動症状も一緒に現れます。これらには抑うつ、不安、睡眠障害、認知機能の低下、嗅覚の変化、便秘などが含まれます。
介護リフォームのポイント
パーキンソン病の患者の方は、運動機会が減少することから、身体機能の低下や骨粗鬆症などの二次的な障がいを持つことが多いです。骨粗鬆症になると、転倒による骨折のリスクが高まるため注意が必要です。
転倒対策
パーキンソン病の方が転倒しやすいため、注意が必要です。以下の対策を考えることが重要です。
- 躓くものの片付け: 室内や歩道に躓きやすい障害物がないように片付けましょう。
- 手すりの取り付け: 手すりを早めに取り付けることで、歩行時や方向転換時にサポートを受けることができます。手すりの位置は通常の高さよりも高めに設置し、おへその位置ぐらいに配置します。
- たて手すり: 自分の意志で止まることが難しい状況に備えて、たて手すりを多めに取り付けることで、安全な歩行をサポートします。
- 引き戸:姿勢反射障害が強い場合、後方にバランスを崩して転倒するリスクが高まります。そのため、引き戸に変更することで開閉動作に伴う身体の動きが少なくて済むので、安全性を向上させることができます。
一般的に介護用の手すりは、股関節の横あたりにある少し出っ張った骨のことで、太ももの付け根あたりに取り付けます。小柄の方で床から約75㎝、身長170㎝の方で約80㎝が目安になります。
すくみ足対策
「すくみ足」と呼ばれる症状は、歩行の意思があるにもかかわらず、足を前に踏み出すことが難しい現象です。この症状は視覚や聴覚の刺激によって改善されることがあり、例えば「いち、に。 いち、に」といった掛け声や、床に横断歩道のようなテープを貼って目印を作ることで、足を出しやすくすることができます。
また、たて手すりに目印のテープを貼ることで、前かがみの姿勢から体を起こしやすくし、視野を広げることができます。
段差について
パーキンソン病の片には、「逆説性歩行」と呼ばれる特徴があり、平らな地面では一歩を踏み出すことが難しく、すくんでしまいますが、階段などの段差は比較的容易に上れるという反応です。この逆説性歩行に対応するため、段差については以下のような対策が有効です。
小さな段差:
躓きの原因となる小さな段差は、取り除くか平らにすることで、歩行の障害を軽減します。
3㎝~16㎝程度の段差:
ある程度の高さの段差についてあえて残し、転倒を予防するために手すりを設置することが重要です。手すりがあれば、安定感を持って段差を越えることができます。
まとめ
パーキンソン病についての要点をまとめると、以下のようになります:
パーキンソン病は、脳の神経細胞のドーパミン不足による神経伝達障害を特徴とする疾患で、主な症状には振戦、筋肉の硬直、運動の遅延、姿勢の不安定性、非運動症状(抑うつ、不安、睡眠障害、認知機能低下、嗅覚変化、便秘)が含まれます。
パーキンソン病の方が日常生活を送るにあたっては、住環境の整備が重要で、転倒リスクを減少させるために手すりの設置や段差の適切な処理、床面にテープを張るなどの対応が役立ちます。
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詳しくは下の関連記事をご確認ください。
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